Franzの音楽にまみれた生活

Franzに音楽をください

バレンボイムのモーツァルトを聴く

はいどうもお久しぶりです、Franzです。何ヶ月振りかと以前のpostを確認しましたが約6ヶ月以上経っていましたねこれは酷い。結局、ポリーニの箱についてもレオンハルトのバッハについてもpostしませんでしたが、言いたい事多すぎて長くなりそう(特にポリーニ)なので、楽しんでます、とだけ言わせて下さい(最低)


ところで、ダニエル・バレンボイムが好き、という方は何人くらいいるのでしょうか。昔読んだとあるサイトでは、元妻であるチェリスト ジャクリーヌ・デュ・プレを裏切った男と紹介されていて、更には音楽も否定的な扱いがなされていました。また、他の所では「バレンボイムなんて好きな奴はいないだろう」と強い論調で断言されていた事もありましたし、彼の指揮についても、「フルトヴェングラーの真似事に過ぎない」というCDレビューを多く読みます。酷く嫌われてるなぁ……ちなみに僕自身はバレンボイムの演奏が大好きです。残念だね、ここにファンはいたのさ!!彼の振るブルックナーとか、大好きですよ。まあそんな訳で、今日はバレンボイムモーツァルト。若かれし頃に録音したピアノソナタ&変奏曲全集。


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バレンボイムはロマン派気質な方だと思うんですよね。彼の平均律や最近のライヴでのベートーヴェンを聴くと感じるけど、ペダルをしっかり使いながら目一杯に旋律線を歌い上げる。そんな所が堪らなく素敵。このモーツァルトはそれらの録音よりもずっと昔のものだけれど、やっぱりこの頃からロマン派気質だったんだなあと感じます。ソナタ1ハ長調の冒頭付近の…7小節目かな、そこの旋律をペダルを使って蕩けるように弾いているのが、なんとも印象的で、美しい。他の所(強弱の付け方が絶妙な第2楽章底抜けに明るいお茶目な第3楽章!)も素晴らしいのだけど、ここが余りにも美しいから何度もその部分を聴いちゃう。また、有名なイ短調の第8ソナタ。雷鳴のような冒頭が過ぎた後、かなり弱い音に落として私たちに語りかける。ここは何度聴いてもぞくっとします。無邪気に音が舞う中、少しの哀しさを纏いながら、一陣の風が駆け巡る劇的な物語を聴くような、その場を一瞬にして劇場に変えてしまうような、そんな演奏。それでいてモーツァルトらしい明るさ、ユーモアは十分。「モダンピアノでモーツァルトを弾く事」を、我々に分かりやすく提示してくれます。作曲当時の演奏法に近付けるのも素晴らしい取り組みだけど、自由な発想で演奏するのも演奏の醍醐味だと思います。


実はこれ、昔買ったは良いものの、当時大学一年生でグールドとピリスのモーツァルト一筋だった僕にとっては面白くない演奏に感じられて売り払ってしまい、最近買い直したもの。元々バレンボイムは大好きだけれど、改めて聴くと、彼のモーツァルトはこんなに良かったんだと実感しています。是非皆さんも「バレンボイムなんて」とか言わずに聴いてみて下さい。お勧めです。